おはようございます。
刑務所で高齢や障害のある受刑者に対して
出所支援指導というのをやっています。
刑務所によってどんな犯罪を犯した人が入るのかが決まっていて
高松は窃盗や詐欺などの微罪を犯した人で
累犯の人が収容されています。
(累犯というのは、何度も罪を犯している人っていう意味です。)
で、出所支援指導って何をするのかというと
介護保険や障害福祉の制度の話し
金銭管理や口腔ケアなどの健康の話し
体操の先生が来ているときもあるし
算数などの勉強を教えてくれる時もあるそうです。
私が担当しているのは制度の話し…もしますが
つまんないので
1ヶ月の金銭管理や1日の食費の計算
食事メニューの決め方
自己覚知や口腔ケア、ゴミの出し方など
日常の生活に密着したことを中心に話しています。
この支援、始まったのは長崎の刑務所。
そこで始めた人が高松に転勤になったのでこちらでも始めて
全国で2番目なんですね。
その翌年にはあちこちで始まって
来年度からは制度化されるらしいんですよ。
なんで、こんなことが制度化されていくのかというと
犯罪の発生件数自体は減っているんですが
高齢者や障害のある人の再犯率が下がらないそうなんです。
刑事司法は悪いことをすれば捕まえて、刑罰を与えるところですが
ただ刑罰だけを与えても再犯率が下がらないということにずっと悩んでたんです。
「どうすれば再犯率が下がるか?
それには福祉との連携が欠かせないのでは?」
と考えるようになったとのこと。
実際に対象となる人たちと話していると
コミュニケーションに問題を抱えている人が結構います。
うまく社会の常識というものに合わせることができず
理解できないことを知られたくないために強面を装う。
そういったことを学ぶ、知る機会を持つことができなかった。
こんなことを書くと
「かわいそうだとか思ってんの?」
と反感を持たれるかもしれませんね。
でも、実は全然思ってないんです。
その人が可愛そうだとか
私が何とかしてあげなくちゃ
なんて、ま~~~ったく思いません。
それに、福祉関係者が関わったからといって
その人たちが善人になるとも思っていません。
ただし、社会性を獲得する機会を持てなかったことについては
可愛そうだと思います。
みな、同じように社会保障などを受ける権利があります。
犯罪を犯したからと言って社会から切り離されるべきではない。
いろんなサービスや社会保障などにアクセスするすべを持たないということについては
解決しないといけない問題だと思っています。
が
あくまで、こういった制度やサービスがあります
こういったことに気を付けて生活していきましょう
分からないことがあれば相談に乗りますよ
と情報提供するだけです。
情報を伝えてもそれを活用するかどうかは本人次第。
本人がその気になるまで見守るよりほかなく
無理やりに制度やサービスに閉じ込めることはできません。
でも、本人が自分から「何とかしたい」と思えば
いつでも手伝えるようにしておきたいと思っています。
人はいくつからでも変われると思います。
ただ、その人の自発的な思いからでないとできません。
その第一歩がこの支援指導になればいいなとひそかに考えてます。
いわゆる
「普通の生活をしたい。」
と思ってもらえるように。
できることはほんの少しですが、いろんな人が重層的に関わることで
何かが変わっていけばいいなと…。
では、今日も前向きにいきましょう!